バス停標識とベンチがある景色

 

当院で認知症治療病棟が始まって1年半になりました。

認知症を発症された入院中の患者さんは、「ここがどこかわからない、家に帰りたい。」という不安に苛まれる方が多くいらっしゃいます。

そうした方々は、お家に帰りたいあまり、病棟を歩きながら、「駅はどこですか?」「バス停はどこですか?」ということをスタッフに尋ねてくることがあります。

 

 ドイツでは、そういった認知症患者さんの不安をやわらげる目的で、施設内に、模擬的なバス停を設置しているところが多数あるそうです。

バス停を探す患者さんが、バス停のベンチで一定時間過ごすことで、気持ちが落ち着き、施設内にまた戻って過ごせるようになることが見られているそうです。

 

 当院でも、こうした取り組みを取り入れたいと、職員の送迎をお願いしている西東京バスさんに、相談させていただました。

「認知症で『ここがどこかわからない』、という患者さんの不安をやわらげるため、院内に模擬のバス停を設置するにあたり、古いバス停の標識をご提供いただけないか?」と。

西東京バスさんは、当院の取り組みに大変理解を示してくださり、かつて市街地で使われていた本物のバス停の標識をご提供くださいました。

 

 

このバス停が、認知症からくる患者さんの不安をやわらげる一助となればと願っています。